金融機関などから融資を受ける場合、前回ご説明しました保証人を付けることも多いですが、債権者は、債務者あるいは第三者の所有している不動産についてその債権を担保するための権利を設定し、万が一の時にその不動産を換価(換金)して債権の回収を行います。この債権を担保する権利を「担保物権」といいます。
「担保物権」には、次の4種類が存在します。
留置権と先取特権の2種類の法定担保物権、質権と抵当権の2種類の約定担保物権の合計4種類です。
ここでは、当事者間の契約(約定)によって成立する質権と抵当権について踏み込んで説明を致します。
ご存じの方も多いとは思われますが、「抵当権」とは、万が一債務が弁済されないときに債権者が優先弁済を受けることのできる担保物権です。
特徴的なことは、債務者または担保を提供した第三者が目的物の占有を移さずに債権の担保として供するという点です。
住宅ローンに例えると担保に供している不動産の占有を移さないといことは、担保物権を占有(例えば居住)することができます。弁済(ローンの返済)されないかった時に初めて優先弁済を受けることとなります。
質権は、弁済がされない場合に優先弁済を受けることができるという点では抵当権と同じですが、対照的なのは目的物の占有を奪うという点です。債権者が担保として受け取った物を債務の弁済がなされるまで留置して(債権者の手元にとどめ置いて)債務の弁済を間接的に強制するということです。
民法用語を並べて説明するとわかりにくいですが、例えば、質屋に行って時計を質に入れてお金を借ります。お金を返すまでは、時計は質屋の手元に預けたままとなります。これが質権です。