他のコラムでも触れたことがありますが、不動産取引は売主の「売ります」、買主の「買います」という意思表示のみで契約が成立します。
この「口約束」に対しお互いの行き違いや勘違いがないよう、また取引のルールを決めるために「契約書」を作成し契約を交わします。
売主と買主の間では、金銭のやり取りを行い所有者は売主から買主に移転したということで完結すれば、取引は完了です。
ところが、この取引完了(所有権の移転)は、これだけでは第三者に対して証明(主張)できません。
第三者に対して証明(主張)するのに必要なのが不動産登記です。
第三者への証明(主張)を民法用語で「対抗」といいます。
(例)不動産取引において第三者への対抗要件は、不動産登記を備えることが必要である。
第三者へ対抗できなしとどういう事になるか? 売却が出来ません。
第三者へ所有権を証明(主張)できない訳ですから、売却ができないといことです。
抵当権設定についても同じ事が言えます。
所有者(債務者)は不動産を担保に融資を受けることを了承し、債権者はこれを承諾して融資を行った場合、お互いの債権債務の関係上はこの約束で成立しますが、債権者から見て第三者に対してこの不動産を担保に取っていることを主張するためには「登記」が必要となります。
ちなみに逆説として、不動産取引の成就の要件として登記の必要性はありません。
いわゆる登記を行っているからと言って、不動産取引が成立している証明にはならないということです。