前回の「短期賃貸借制度」についてお話いたします。
ここでは、すべて抵当権が設定されている建物の賃貸借についてです。
この制度が認められるのは、賃貸借契約の締結時期が平成16年3月31日までのものです。
まず、3年を超える契約期間を定めた長期賃貸借契約といわれるものについてですが、競落後の賃借人の居住できる期間については、即退去です。(居住を主張できない)
敷金返還については、返還債務は旧所有者にあります。よって買受人に返還債務はありません。
次に、掲題の短期賃貸借です。
平成16年3月31日までに締結された契約期間3年以内の賃貸借契約です。
この契約の場合、2種類のパターンが想定されます。
まず、競売開始決定前の賃貸借契約(更新を含む)による賃借期間が競落人の代金納付時に残存するか、否かです。
これは、賃借人は契約の残存期間に限り、居住を主張できます。また、敷金返還請求についても、競落人に請求することができます。
では、競落人の代金納付前に賃借期間が満了する場合はどうかというと、
居住を主張できません。よって即、退去しなければなりません。
敷金返還請求についても、旧所有者に返還請求しなければならず、競落人に敷金返還債務は生じません。これが、「短期賃貸借制度」の概略です。
次回は「明渡猶予制度」です。