「売主、買主はその相手方が本契約の履行に着手するまでは、互いに書面により通知して、買主は売主に対し手付金を放棄して、売主は買主に対し、手付金受領済みの金員を無利息にて返還し、かつ手付金と同額の金員を買主に支払うことにより、本契約を解除することができます。」
以前にも解説しましたが、いわゆる「買主の手付け放棄、売主の手付け倍返し」という方法にて解約ができるということです。
それでは、本文中にある「その相手方が本契約の履行に着手するまでは…。」とはいつまでなのでしょうか?
「本契約の履行」とは、売主においては売却に向けての準備です。例えば、引っ越しの準備や次に移り住む家探し等です。買主においては購入に向けての準備です。例えば住宅ローンの申し込みや現在の住まいの退居の準備等です。
これらの「着手」(とりかかる)までということになります。
これらの履行に着手したかどうかは、非常に相手方にもわかりにくくお互いの着手時期も異なるため、もめごとの原因になりかねません。
そこで一般的には手付け解除期日というのを設定しその日までは、手付金額を対象として解約が可能になります。
その日を超えるとどうなるのか?その期日を超えて解約を申し出ると「違約」になります。この場合、契約書にて「違約金額」の設定があるのでその金額がペナルティー額となります。(一般的には売買代金の20%)
いずれにしても、様々な物件を見学してせっかく契約まで至った物件を解約するというのは、非常にもったいないお話しです。慎重になれば、物件は決まらないし、かといって軽はずみには決められないし……。
私の不動産営業20年の歴史の中で一度だけ「手付け解約」をされた買主様がおられました。皆様もこのような経験をされないように物件探しには慎重かつ思い切りよくお決め下さい。