「本物件の所有権は、買主が売主に対して売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領したときに売主から買主に移転します。」
「売主は買主に対し、表記物件を表記引き渡し時期に引き渡します。」
以前にもこの項目にはふれたことがありますが、一般的には所有権の移転時期と引き渡し時期は同日に行います。
所有権移転とは、司法書士に委任を行い、買主への売り渡し証を発行し法務局への登記申請を提出することです。この手続きにより第三者へ対して当該物件の所有権を主張できなくなります。
引き渡しとは、当該物件にある売主所有の動産(家具等のすべての私物)を撤去し買主に引き渡すことです。これらの手続きは、金融機関に場所を借りて行うことが多いので、契約書通りの引き渡し状態になっているか否かの現地確認は事前に済ませ、当日は現地にはいかず「鍵」の受け渡しをもって物件の引き渡しとする場合がほとんどです。
しかし、希にこのケースに当てはまらない時があります。
例えば、売主が買い換え(現在の自宅を売却しその資金で次の自宅を購入する)の場合などは、売主を起点に考えると全ての手続きを一日で完了させるのは物理的に不可能に近く、その場合「引き渡し猶予期間」を特約にて定めます。「猶予期間」といっても1週間~2週間手程度です。
いくら特約に定めがあるといっても、残代金を支払った「マイホーム」に他人が住んでいる状態が続くわけですから、物件の管理義務の責任の所在は明確にする必要があります。
これまで繰り返しアドバイスさせていただいた事ではありますが、不動産の購入&売却の交渉は「価格」だけではなく、こういった取引内容も重要な部分とご認識頂くことが必要です。