今回は占有者について記載された特記事項についてご説明申し上げます。
この欄(特記事項)に記載された占有者は原則として引渡命令の対象となります。
ここでは、注意すべき項目もしくは引渡命令が発令されない可能性についてお話いたします。
本件所有者(又は債務者)が占有している。
文言のとおりの占有状況です。これには現実に居住している場合、不在、残置物がある場合等さまざまですが、いずれにしても、鍵の受け渡しには執行裁判所は関与しません。残置物の取り扱いにつきましても、注意が必要です。
例えば、競落物件内の動産を処分した後に元の所有者が出てきて、動産所有権を主張するような場合です。最終的には、裁判所の強制執行という方法もありますが、時間も労力もかかってしまいます。
引渡命令が発令されない可能性がある場合(代表的なもの)
- 買受人が共有持分を取得した場合で、他の共有者が占有している場合。
- 特権を有する者(外国の外交官等)が占有している場合。
- 平成8年8月31日以前に競売が申し立てられた事件の一部が対象となります。(差押前から適法に占有していると認められるもの)
- 以前お話した短期賃借権を有する賃借人で期限到来以前のもの。
次回は引渡命令とその手続についてです。