今回は、「登記面積」と「実測面積」についてです。
「登記面積」は、土地区画整理事業等により分筆登記された土地以外は、ほとんどが実際の面積と相違があります。
その相違の原因は明治時代まで遡ります。
当時の政府が土地から税金を徴収するために測量を行いました。その測量技術の未熟さが大きな原因のひとつです。不整形の土地を測量する場合などは、なんと縄を張り巡らせ、それを元に面積を割り出していたそうです。また税金を安くするために過少申告した者もいたようです。
不動産取引においては、たいていの場合「公簿取引」(登記面積取引)が通例です。これは、既に住宅が建っている場合などは、建築の際に土地を測量しているケースがほとんどなので、「公簿取引」が慣習となっています。
昭和時代主流だった三角測量での面積を最近主流のXY座標で測量するとこれも多少の差異がでますが、これは軽微な差異なので新たに測量せず「登記面積」のまま取引されます。
これに対し、測量図も存在しない場合は「実測取引」を行います。
契約書に「実測取引」と明記し、取引する「坪単価」を決め、売買代金はその「坪単価×登記面積」を記載し、特約条項に「物件引き渡しまでに測量を行い、面積の差異が出た場合は坪○○万円にて清算する」旨を取り決めて記載します。この場合の測量の費用負担については、事前に交渉、打ち合わせ、取り決めが必要です。
また建物について増築等を行ったものの登記していない場合がよくあります。
この場合も決済までに登記する旨の特約が必要になります。「固定資産税評価証明書の面積」と「延べ床登記面積」に大幅な差異がある場合は、未登記部分が存在します。未登記のまま取引するケースもあるのですが、住宅ローンを利用する時は金融機関から未登記部分を登記するよう指示が出る場合があります。
また所有権移転後に未登記部分を登記するのは手続きが非常に複雑になりますので、売買契約時に解決することをお勧めします。
未登記部分、公簿取引etc…と様々な取引形態がありますが、あまり過敏になる必要はないと思います。しかしながら、あまりにも現状と差異がある場合は、しっかりと登記しご自身の財産の大きさを把握することが大事なのかもわかりません。